

(はじめに)
このコーナーは、僕が劇場、自宅のビデオなどでみた、僕の好きなジャンルについて
紹介していきます。わからない人にはちょっとツラいかもしれませんが、
興味のある人、みていってください。
(第2回)テレビ映画「Uボート」(1981年、ドイツ)
【あらすじ】1941年秋、ナチス・ドイツ占領下にあるフランスの軍港。これから大西洋に
向け出撃しようとする、ドイツ軍潜水艦「U−96」のクルーの中に、従軍記者・ヴェルナーの
姿があった。実際にUボートに乗船して、クルーたちの「英雄的」な姿を記事にしようとしたのだ。
しかし出航後の彼らの姿や、船内での生活は、彼の意図とはかけ離れ、狭い船室での苦しみに
満ちたものだった。そんな彼らをまとめ上げる艦長は、なかなか敵船を捕捉できないことに、
苛立ちはじめていた。作戦開始から数十日、Uー96はついに敵艦攻撃の命令を受ける。
しかし、彼らの目の前に現れたのは、目標の輸送船団ではなく、潜水艦攻撃用の駆逐艦だった。
艦長は魚雷でたたかうことを決意し、潜航をはじめるが・・・
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第1回からだいぶ間が空いてしまって、すいませんでした。予告通りの「Uボート」ですが、
この作品を知っている方は、「あれっ?」と思われたかもしれません。題名のところが、
「テレビ映画」となっていますが、これは決して間違いではありません。日本では、20年ほど
前に公開された、2時間弱の作品が「Uボート」として有名なのですが(つい最近、スタッフが
再編集・デジタルサウンド化した、「ディレクターズ・カット版」も公開されて、話題になりました)、
本国ドイツでは、最初テレビ用として制作されたのでした。cainさんに「Uボートはおもしろい
映画ですね」と話していたとき、このテレビ版の存在を知ったのですが、その長さを聞いて、
思わず絶句しました。なんとオリジナル版は、6時間近いのです。この原稿を書くために、
気合いを入れて再度観ましたが、終わったときの不愉快さときたら、そりゃあ凄まじかったです。
何度も観て、結末は知っているんだけれど、乗員たちへの感情移入があまりに強くて、やっぱり
ショックを受けてしまいます。出港時の、恐怖感の中でも意気揚々とした乗員の姿から、艦内に
立ちこめる、人間の体臭と機械油の臭いに苦しむ姿、駆逐艦が放った爆雷(駆逐艦から水中に
落とし、潜水艦が潜航しているところまで沈むと、自動的に爆発する爆弾のこと)の攻撃に遭い、
まるでドラム缶に密閉されて、バットで殴り続けられるような振動に発狂する姿・・・どれも
人間が潜水艦に乗っていれば、だれかれ問わず陥りそうな姿に、ホラー映画以上の身震いを
感じました。でも終盤、深手を負ったUボートが海底に沈み、あらゆる方法を使って艦の浮上を
試みる姿に、思わず手に汗握ってしまいました。深い闇に包まれた、海底から脱出する・・・
アクション映画ではありがちな設定ですが、これに挑んだのがスーパーヒーローや、マッチョマンでは
なく、死の恐怖におびえる並の兵士たちだったところに、この映画が持っているリアリティーと
説得力が生まれてきていると思います。同じUボートを題材にした、ハリウッドの「Uー571」では、
味わうことのできない恐怖感と感動(アメリカ軍が主役だと、どうしても英雄的行動が前面に
出過ぎて、しかも最後は、ほぼ必ずアメリカ軍が勝って終わる)が、おすすめできる1本です。
それにしても、ドイツ人が自分たちの戦争を、ここまで実直に描いているのに、日本の映画界
では、未だに戦争に踏み込んだ作品が生まれていないのが、情けない限りです(もう今さら
戦争映画なんて、という風潮が感じられる)。しっかりしろ!!
ああ、なんとか無事第2回が発表できました。一時はどうなるかと思ったこのコーナー、
まだまだ続く予定ですので、どうぞよろしくお願いします。というわけで、次回のネタですが、
映画「Avalon」(2000年、日本)と、
映画「DEMONS WAR 〜戦場の死神〜」(1998年、ポーランド)
の2本立てでお送りします。またまた戦争映画です(コーナー名変えて、戦争映画専門の
コーナーにしようかなあ・・・)が、この2本に共通性があるのです。それがなにかは、
次回までのお楽しみ・・・(つづく)。
☆おまけ☆
テレビ映画「Uボート」の個人的評価(5段階)
ストーリー: よい(序盤、ストーリーに盛り上がりがないので、少し退屈な以外は、6時間の長さを
感じさせない。ただし疲れるので、体調の良いときに一気に観ましょう)
キャスト : すごくよい(俳優の個性が出にくい作品でありながら、感情移入できるキャラクターが
多く、また主役級の多くが、デビューしたてで素人っぽさが残っていたのが、かえって
効果的に思えた)
特 撮 : すごくよい(本物と同じ大きさの「Uボート」セットは、まさに戦場そのもの。艦内の映像以外、
ほかにほとんど登場しないにも関わらず、CGをバンバン使う現代映画を、はるかに
上回るリアリティーを出すことに成功している)
時代考証: すごくよい(本家ドイツ人が作っただけに、言うに及ばずである。ドイツ語で「警報ー!」
とか、「魚雷発射!!」とか言うと、妙に様になる。ドイツ語って、あのゴテゴテした
しゃべり方が、戦争映画向けなのだと思う)
総合評価: すごくよい(評価は上から「すごくよい」「よい」「まあまあ」「イマイチ」「だめだこりゃ」と
なっています。悪しからず)
