(はじめに)

このコーナーは、僕が劇場、自宅のビデオなどでみた、僕の好きなジャンルについて

紹介していきます。わからない人にはちょっとツラいかもしれませんが、

興味のある人、みていってください。




(第9回)「5月に観た映画作品で印象に残ったもの」




【簡単なあらすじと感想】




「誓いの休暇」(白黒作品 1959年、ソ連)〜

(観た場所)自宅のDVDで



 (作品紹介)第二次大戦下、侵略してきたナチスドイツ軍との戦闘が続く、ソ連が舞台。
通信兵として前線で活動中、偶然手柄をたてた少年兵が、そのほうびとして一週間の特別休暇を
もらって、故郷で待つ母親のもとをたずねる道のりを描いた作品。監督はロシア人のグリゴーリー・チュフライで、
この年のカンヌ国際映画祭など、主な映画賞を総なめにした。



 (感想)これぞ究極のロードムービー、といえる作品です。手柄を立てたとはいえ、ただの一兵卒が
将軍に直訴して休暇をもらうなんて、実際の戦場ではあり得なかったことかもしれませんが、おかげで
何とも切ない、心温まる作品が生まれることになりました。途中ソ連の都市が、ドイツ軍に陥落させられた
ニュースが流れるシーンがある所から、ソ連が一番劣勢だった時期が舞台だと思われますが、
兵士も市民も、みんな本当に今日一日、無事に生き延びられるかどうかのギリギリの状態だったことが、
伝わってきます。それでも一目、母親に、大切な人に会っておきたい。明日をもしれぬ命だから。
もし僕が同じ境遇だったら、おそらく同じ選択をすると思います。彼が無事に母親に会えたかどうか、
それは観てのお楽しみです。




〜「青い凧」(カラー作品 1993年、中国)〜

(観た場所)自宅のCS放送で



 (作品紹介)1950年代〜60年代の中国。文化大革命をはじめ、数々の政変の嵐の中で、多感な時期を送った
少年と、夫を次々に失いながらも、命がけで我が子を守ろうとする母親の人生を描く物語。
監督は田壮壮で、1993年の東京国際映画祭グランプリを受賞するなど、高い評価を受けた。




 (感想)今すさまじい経済発展をとげ、世界の先進国の仲間入りをしようとしている中国。一方で、つい2〜30年前まで、
この国は恐怖政治と貧困、体制やイデオロギーによる殺戮が繰り返される国でもあったのです。
この映画は、「激動」と言ってしまうにはあまりに過酷な時代を、絶望的なまでに美しい映像で、淡々とつづっていきます。
幸せをつかみかけても、そのたびに体制の身勝手によってそれを奪われ、ラストも何の説明もないまま、唐突に
終わってしまいます。監督をはじめ、この時代を生き抜いた人々の傷が、いまだ癒えていない証拠なのでしょうか。
先月にもここのコーナーで紹介した、チェコなど東欧の旧体制を振り返る映画とは、やはり違いますね。
観終わった後も、その余韻でしばらく声も出ませんでした。衝撃作です。




〜「KT」(カラー作品 2002年、日本・韓国)〜

(観た場所)京都の映画館で



(作品紹介)1973年8月8日に、日本で実際に起こった、当時韓国の有力政治家だった、金大中拉致事件を
元にした物語。拉致を実行した韓国大使館員やKCIA(韓国中央情報部)、それに関わったとされる陸上自衛隊の
情報機関(陸上幕僚監部二部、通称”別班”)隊員など、複雑な利害関係・政治的背景を持つ人々の、
金大中拉致の計画〜実行〜結末に至るまでの行動・心情を、実話さながらに描く。
監督は「どついたるねん」「顔」などでも有名な、坂本順治。




(感想)今年の初めにドイツに行ったときに、ベルリン映画祭にこの作品が出品されていました。
「千と千尋・・・」が大賞を取ったのはみなさんご存じだと思いますが、この作品も日本映画の
まったく違う一面を、世界に見せつけた作品だと思います(残念ながら受賞には至りませんでしたが)。
こんなに重厚な人間ドラマの映画も久しぶりで、本当にお腹いっぱい。2時間半近い長い映画でしたが、
あっという間に観終わってしまいました。佐藤浩市演じる自衛隊員のキレた感じと、
キム・ガプス演じる大使館員の体制に追いつめられた感じ。二人がそれぞれ貫き通そうとする信条に、
身を滅ぼされていく過程が、本当に悲しい映画です。







今回は、国家とか体制、機密など、人の感情や命など
大きな力で押し流してしまうものに、いろんなかたちで抵抗しようとした
人たちの物語が3本続きました。世界では、いまなおこんな光景が、
あちこちで繰り返されているんでしょうね。その光景を切り取って、多くの人に
触れさせる映画の力を、改めて認識しました。
これからも心に深く刻まれる映画を見つけていきたいです。



というわけで、次回予告です。

 次回第10回は、

「6〜7月に観た映画作品」(予定)です。



最近また忙しくなってきて、あと連日のサッカー中継のせいで、映画が全然観られません。
次回はいよいよ記念すべき10回目。ここまで無事に続いたのが、奇跡的なこのコーナー。
どうなりますやら。


            

*第1回「U−571」はこちら*

*第2回「Uボート」はこちら*

 *第3回「Avalon」「DEMONS WAR」はこちら*

*第4回「フル・モンティ」はこちら*

*第5回「スターリングラード」「Taxi 2」
「ホワイトアウト」「JSA」はこちら*

*第6回「魚住少尉命中」「千と千尋の神隠し」はこちら*

*第7回「突撃」「鶴は翔んでゆく」はこちら*

*第8回「シベールの日曜日」「キプールの記憶」
「冴えなくも素晴らしき年月」「カンダハール」はこちら*





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